こんにちは。
ねこじた薬剤師のヒロです。
ロキソニン(成分名はロキソプロフェンナトリウム)といえば部活やスポーツをする人で、一度もお世話になったことがない人はいないかもしれないくらい有名なお薬ですね。
今では「ロキソニンS」という名前のOTC医薬品(市販用医薬品)も販売されており、全国のドラッグストアで簡単に購入することもできるようになっています。
これによってさらに手軽に使用されやすくなった反面、副作用などの相談も以前より増えた印象があります。
頭痛、腰痛、歯の痛みなど多くの痛みに有効で整形外科などの分野以外でも幅広く処方されているロキソニン。
今回はこのロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム)について、専門用語などをできるだけ使わずに超簡潔にまとめてみたいと思います。
もくじ
ロキソニン(ロキソプロフェンNa)の効果、飲み方
まずは基本的な情報から説明しますね。
効能・効果(何に効くか?)
主に以下の痛みや炎症を抑える効果があります。
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛、手術後の痛み、外傷、抜歯後の痛み
さらに以下の場合の発熱や痛みを抑える場合にも使えます。
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)
用法・用量(飲み方)
1回1錠で1日3回の内服が基本です。1日3回飲むように処方される場合は多くが毎食後となります。頓用では1回1錠もしくは1回2錠まで。年齢・症状によって適宜増減します。
急性上気道炎では1回1錠の頓用。原則として1日2回までとなっており、1日最大でも合計3錠までです。
ともに「空腹時は避けることが望ましい」となっています。これは副作用である胃腸障害を軽減するためです。食後でなければ絶対飲んじゃダメ!というわけではないですが、できる限りはなにか胃の中に入れた後に服用するようにしましょう。薬剤師でもそうしています。
どうやって効いてるの?(作用機序)
ここではロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム)が、なぜ痛みをおさえることができるのかを簡単に説明します。
ロキソプロフェンナトリウムは、炎症を起こした部位でのプロスタグランジン(PG)という物質の生成を阻害します。阻害とは言い換えると邪魔をするということです。
ではこのプロスタグランジン(PG)が痛みを出しているのかというと、そうではありません。プロスタグランジンは痛みとしての「感じやすさ」を増加させる効果(疼痛閾値の低下作用という)を持っています。
つまり、プロスタグランジンが増えると「痛みをより強く感じやすくなる」というわけです。
また、このプロスタグランジンはほかにも複数の効果を持っており、結果として炎症を増強させたり、発熱を促してしまいます。
このように強力な効果を持っているプロスタグランジン。
これが作られることを邪魔することによって、ロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム)はその鎮痛・抗炎症効果さらに解熱効果を発揮しているということになります。
副作用が気になった方はこちら!
主な副作用として、消化器症状(胃部不快感、腹痛、悪心・嘔吐、食欲不振等)、浮腫(ふしゅ)やむくみ、発疹・蕁麻疹 、眠気が報告されています。
この中でも特に消化器症状の副作用を起こしやすいため、予防的に胃腸薬がよく同時に処方されています。
ロキソプロフェンが抑えるプロスタグランジンは、本来、胃粘膜を保護する機能ももっています。そのため、ロキソプロフェンを使うと保護作用が弱くなってしまい胃酸などの作用によって消化器系が傷つきやすくなり、結果として潰瘍がおきてしまうことがあるというわけです。
念のために添付文書(説明書)に記載されている重篤な副作用も書いておきます。下記のような症状があらわれた場合には使用を一旦やめて、すぐに医師の診療を受けるか相談するようにしてください。
鼻血が出る、歯ぐきから出血する、手足にあざなどができやすい
無顆粒球症、溶血性貧血、白血球減少、血小板減少などの副作用の可能性が考えられます
皮膚・粘膜が赤く腫れて発疹や水ぶくれができる、発熱、全身倦怠感
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群などの可能性が考えられます
呼吸がしにくい、全身がむくむ
うっ血性心不全(心不全とは、心臓が全身で必要とするだけの血液を十分送り出せなくなった状態)の可能性が考えられます
発熱、咳がでる、息苦しい
間質性肺炎の可能性が考えられます
血を吐く、便に血が混じる
消化管出血(胃や腸からの出血)の可能性が考えられます
みぞおちの痛み、腹痛
消化管穿孔(胃や腸に穴が開く)の可能性が考えられます
吐き気がする、腹痛、腹部膨満感
小腸・大腸の狭窄・閉塞(腸管が狭くなったり、詰まったりしてしまう)の可能性が考えられます
全身がだるい、吐き気がする、皮膚や白目が黄色くなる
肝機能障害、黄疸の可能性が考えられます
以上が重篤な可能性のある副作用でした。
ただし、ここにあげた副作用がすべてというわけではありません。上記以外でも気になる症状が出た場合は、医師または薬剤師に相談するようにしてください。
まとめ
ロキソニンは今では内服の錠剤だけではなくテープ剤、パップ剤も発売されています。いずれもよく使われており鎮痛剤として日本では第一線を張っているお薬となっています。
最近では市販薬の「ロキソニンS」を使っている方も少なくないでしょう。
様々な痛みを抑えてくれるロキソプロフェンが非常に便利なお薬なのは間違いないですが、長期連用するには胃腸障害など副作用の観点からもおすすめはできません。
どうしても痛み止めを飲みたいけど、もともと胃腸が弱くて副作用が気になるという方にはロキソプロフェンよりそういった副作用の少ない、カロナール(アセトアミノフェン)などの痛み止めをオススメします。