もくじ
『ビジネスの限界はアートで超えろ!』という本
ボクはアートというものに関して、まったく知識がありませんでした。
アートについて何も考えたことがなかったので当たり前っちゃあ当たり前なんですが、なんでお金持ちが高額な絵画を何点も所有するのか全然わからなかったし、ビジネスとのつながりなんて思いもつきません。
正直に言いますが、「お金持ちの道楽」くらいにしか思っていなかったわけです。
絵画なんかの芸術作品って、一般人にはなんだか少し遠くにあるような気がしませんか?
簡単にいうと「手が届かない位置にあるもの」って感覚です。
音楽でたとえるとクラシック音楽みたいなもの。
一部の感性を持ち合わせた選ばれた人だけのもので、そもそもセンスのかけらもないボクみたいな人間には無縁なものって感覚です。
だけど、どうも違うみたいです。
「アートなんて無縁だ!」
そんなボクの意識を変えてくれたのが、この本でした。
[rakuten no="9784799323717" shop="book" kw="ビジネスの限界はアートで超えろ! 増村 岳史"]
たった2日で誰もが絵を描けるようになる講座を主催している増村岳史さんという方の著書になります。
今回はこの本の中から、「なぜ、アートに対して苦手意識を持つ日本人が多いのか」ということについて考えてみたいと思います。
アートのベースにはロジックがある
一部の学科、学部を除いて日本の美術系大学の入試で必ず課される科目があるそうです。
それは、デッサンです。
アートの基礎はデッサンであるという事実からそのようになっているそうです。
では、デッサンに必要な能力とは一体なんなのでしょうか?
想像力、観察力、空間の認識力、それとも手先の器用さでしょうか。もっと感覚的なもの、つまりセンスがやはり重要でしょうか。
この本の中で著者の増村さんは、様々な事実から
論理的な思考力(ロジック)がデッサンのベースにある
と述べています。
だけど、もし本当にそうであるなら、ひとつの疑問が浮かんできませんか?
ロジックがベースになっているのなら、それこそ学業の成績が良かったような秀才タイプの人は美術もできたはずではないか。
だけど現実的には、「成績のいい人ほど絵が上手かった」というような記憶がある人はほとんどいないのではないでしょうか。
この謎は、じつは学校教育にあります。
「考えるな!感じろ!」という言葉
小学校の図工の時間を思い出してみてください。
近所の公園や広場などの野外にスケッチブックと絵の具セットを持っていって写生をした経験があるかと思います。
そんなとき、先生がどんな指示をしていたか覚えていますか?
「思ったように好きなものを描いてみましょう」
たぶん、そんな風なことを言われたのではないでしょうか。
結果、ぼくたちは目に入ったものやなんとなく気になったものを感性のまま描くことになります。さらにその間、特に指導らしい指導を受けることもありません。
どうすればうまくなるかわからないうちに無理くり完成させ、それを評価されます。
正直、今になって考えてみると無茶苦茶もいいとこです(笑)
増村さんはこう言っています。
わたしの記憶によると、秀才と言われた人ほど絵が不得手な傾向があったような気がします。感性とロジックの関係をわたしなりに整理した後でこのことを振り返ってみると、秀才たちは、絵を描くために必要な論理力が高いにもかかわらずそれを封印された挙げ句、感性・感覚だけで絵を描くことを要求され、思考が窮屈になったのだと思います。
つまり、「感覚的に描いてみましょう」という指導がぼくらの論理力を剥ぎ取ってしまい、ほとんどの人が感覚的に絵を描いて、最終的に低い評価を下されてしまう。
そして、『絵を描く』ということに対して苦手意識を持つことになったというわけです。
だから、みんな絵が苦手な人はこう言っちゃいますもんね。
「わたし、絵心がないので…」
これ、生まれつきのセンスがないから絵が下手なんだと思ってる証拠となる一言です。
中国武術の達人、ブルース・リーは言いました。
「考えるな、感じろ!!」
この言葉は誤解を招きやすい名言だと、ぼくは思います。
それは感性や勘というのは、かなりの経験を積んだ人だけが頼りにしていいものだからです。
経験の少ない人が勘を頼ることは、単なる運任せです。
テストで迷ったときに、直勘で正解できるのはたくさんの勉強をした経験があるからだし、スポーツでもたくさんの練習をしているからこそとっさの判断が活躍につながるわけです。
ぼくらは幼い頃、たいした経験もないのにいきなり感覚で描いてみましょうと言われて素直に言われるまま絵を描きました。
これでは高評価をもらえるかどうかは「運次第だった」と言っても、過言ではないでしょう。
アートのベースはロジック。
これが本当だとしたら、ボクらは今からでもアートを身につけることができるはずです。
「まずはデッサンから初めてみよう」
そう思わせてくれた一冊でした。
アートについての意識を変えたい方は一読してみてはどうでしょうか。
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