どーも!
らくがき薬剤師のヒロです!
お薬手帳について、皆さんはどのように考えておられますか?
「国の方針だから持ってもらうようにするしかないかな・・」
「実際、飲み合わせなんかの役に立つし絶対あった方がいいでしょ!」
なんていう考えが多いかと思います。
このお薬手帳、僕が薬剤師になったばかりの頃はそこまで重要性は高くなかったように思います。
患者さんもほとんどその存在すら知らなかった気がしますし、お持ちいただくよう勧めた記憶もまったくありません。
一部の患者さんは自分で手作りのお薬ノートを作成していたりもしてて、そんなノートを一緒に確認しながら「几帳面ですね」なんて話したりしていました。
それが今ではお薬手帳の普及に関して保険制度から厳しい罰則まで課せられるようになり会社から配布指導されることもあるでしょう。
今回考えてみたいのは「お薬手帳の理想と現実」についてです。
どんなお薬手帳がほんとに有効なのか。
どこまでの情報があればどんな役に立つか。
そして、お薬手帳は本当に必要なのか。
皆が持ちたくなる理想と言えるお薬手帳を模索してみたいと思います。
もくじ
お薬手帳のはじまり
まずは意外と忘れがちなお薬手帳の歴史を簡単におさらいしたいと思います。
お薬手帳は平成5年(1993年)に日本国内で起こった「ソリブジン事件」が導入のきっかけとなりました。この事件では抗ウイルス薬「ソリブジン」と抗がん剤の併用により多数の死亡者が出ました。
この事件をきっかけに、薬物相互作用の危険性が再認識されることとなり、一部の病院や調剤薬局などで手帳に服薬の記録をつける取り組みが始まった。それがお薬手帳の始まりです。
その後、医薬分業モデル地区に指定されていた埼玉県の朝霧地区薬剤師会が現在のお薬手帳のモデルを作成、普及させようという活動が始まりました。
こうして考えるとやはりお薬手帳の大切さが理解できるかと思います。
お薬手帳のあるべき姿とは
お薬手帳の普及を進める大切さが理解できたところで考えたいのが、「現在のお薬手帳」はどうかということ。
僕の体感として、お薬手帳を薬局に持ち込んでくれる患者さんの数は5割~6割程度だと感じています。持参していただける方というのは、しっかりいつも持参してくれますが、持ってこない人は何度言っても持ってきてもらえない印象です。
これだけお薬手帳に関しての啓発活動も行われている中で、いまだに持参していただけない患者さんになんとかお薬手帳を持っていただくためには何かしら変化が必要なんだと思います。
今では電子お薬手帳も存在しますが、年配の患者さんには扱うのは難しいと思いますし、手帳さえ持ち歩くのが面倒だと思うような方におすすめできるものではないんですよね。
そもそも患者さん側に何かをお願いするという考え方が良くない気がするのです。
理想としてはデジタル化しクラウドで管理。必要な時には各医療機関で確認できるようにする。
それが一番の解決法ではないでしょうか。
いちいち患者さんに手帳を持参してくださいとお願いすることもないので負担も少なく済みます。
なおかつ手帳が2冊も3冊も増えるような事もなくなります。
そして、確実に併用の確認もできるようになり、今より相互作用防止の役割をしっかり果たせるのは間違いないでしょう。
まとめ:お薬管理は必要だが、それは手帳じゃない。
手帳の歴史についての部分で、僕は「お薬手帳は大切だ」と言いました。
ただし、それは手帳という媒体ならいりません。
当然、スマホのアプリだって同様です。
なぜか?
手帳にしろアプリにしろどちらも患者さんのツールだからです。
患者さんが所有するデメリットは自己で提示しなければならないということ。
これは何かあった時には非常に難しいと思われるのです。
病気で倒れた時や災害時などを想定すると、実際に役に立つべき場面にマッチしていない。
インフラの整っていない時代なら紙の手帳も仕方なかったでしょうが、今はそうではありません。
いまやインターネットは誰でも使用できるものになりました。服薬データに限らず医師の扱うカルテなどのデータもクラウドで管理すれば万全ではないでしょうか。
お薬の一元管理に必要なもの。
それは手帳でもアプリでもなく法整備に違いないと僕は考えています。