服薬支援

粉薬を嫌がる子どもにできること【小児の薬の飲ませ方】

どーも!

ねこじた薬剤師のヒロです。

 

子育てをされた方にしか理解しにくい経験のひとつに、必ずと言っていいほどある悩み。

それが、せっかく病院でお薬をもらって来たのに、まったく飲んでくれないことだと思います。

幼い子どもたちには苦いお薬や美味しくもない粉薬を口に入れる理由が理解できないため、当然のことではあります。

また、嫌がる理由も一人ひとり違うためうまく飲んでもらうようにするのはかなり至難の技です。

だからと言ってお薬をしっかり飲まないと、当然その効果は期待できなくなってしまいます。

薬剤師は、しっかり処方されたお薬を飲んでもらうようにすることも職務のひとつです。

「お薬を飲んだ方が楽になるんだよ」と言葉で言ってもわからない。

そんな小児期の子どもたちが相手でもそれは変わりありません。

そのため、いろいろ工夫してなんとか飲んでもらえるよう日々考えています。

 

今回は、小児期における服薬方法について年齢別におすすめの方法を紹介させていただきます。

お薬を飲んでくれなくて心配…

そんな保護者の方のお役に立てば幸いです。

ちなみに、ボクも3児のパパなので子どもの服薬ではちょっとだけ苦労した経験があります。

もくじ

乳児(新生児~1歳前後)の場合

スポイト作戦

一番おすすめな方法はスポイトを使って飲ませることです。

スポイトとはこのようなものです。

  • 実際の手順

まずは散剤(粉薬)を水で溶かします。

この時、水の量が多すぎると飲みきれない場合があります。

散剤の量にもよりますが、小さじ2分の1杯~小さじ1杯程度(2.5cc)の少量にしてください。

薬剤師ヒロ
スポイトは薬局でもらえるところもあるので、薬剤師さんに聞いてみてくださいね。

飲ませ方のコツもあります。

飲むのを嫌がる子ほど横抱きがおすすめです。

縦抱きでは口を開いただけですぐに口からこぼれて出てきてしまいます。

しかし、横抱きにすると簡単には口から出しにくくなるので、吐き出し防止になるわけです。

ただし一点だけ注意があります。

お察しの通り、横抱きは気管に入ったりしてむせる心配もあるので必ず少量ずつ、口にいれてください。

この方法は1歳半ぐらいまで効果的なことが多いです。

まとめると、スポイト作戦のポイントは、「横抱きで、少量ずつ、何度も、ゆっくりと」です。

お団子作戦

ほかにおすすめなのが「お団子作戦」です。

この方法は散剤に水を加えてペースト状かお団子状にして上顎や頬の内側に塗る方法です。

そして最後に水を飲ませます。

これだと直接舌に触れにくいため、苦味などの味を感じにくいという利点があります。

 

ただ、このお団子作戦にもひとつ難点があります。

それは、理想の状態に作るのが意外と難しいことです。

 

水が少ないと粉のザラザラ感が残ります。

逆に多すぎるとベチャベチャになってしまい、皿からすくい取ることができなくなってしまいます。

なので、1滴ずつスポイトなどで水を加えるようにして微調整が必要になります。

これを繰り返して、ほどよく湿気を含んだ泥団子のようになるとそこでやっと、完成です。

さらにですね、お団子状にするのに必要な水分量はかなり医薬品の種類によって変わります。

この2点から、実際にやってみようとするとお団子状にするのに想像以上に時間がかかったりします。

なので、急いでいるときにはおすすめしません。

時間に余裕があるときに、まずはお団子作戦を試してみて、うまくペースト状にならずにベチャベチャになってしまった場合にそのままスポイト作戦に移行する。

これがいいかと思います。

薬剤師ヒロ
乳児の服薬は薬剤師でも苦戦するので難しく考えすぎないでくださいね。

1歳前後~3歳くらいまで

この時期の小児が、一番服薬を嫌がりやすい時期と言われています。

味覚も発達して、自我が芽生えるのもこの時期だからです。

お薬は本来、水で服用するべきものですが、どうしても飲んでくれないようなら食品と混ぜて飲ませるようにお伝えすることも少なくありません。

ただし、食品との混合となるとちょっとだけ注意が必要です。混ぜた食品によっては逆に苦味が強くなったりします。それに、お薬の効果が落ちてしまう場合だって考えられます。

薬剤師ヒロ
薬剤師ヒロ

心配であれば必ず薬剤師さんに聞いてみてください。

食品に混ぜて飲ませる場合のコツですが、それは単純です。

お腹が減っている「食前」で飲ませちゃいましょう(笑)

小児のお薬というのは、皆さんが思っているよりも食後でなくてもかまわない場合が多く、一部のお薬意外は飲みやすいタイミングでもいいのです。(念のため、薬剤師さんに聞いてくださいね)

下に、誤った混合をすると苦味の強くなるお薬とおすすめの食品を書いておきますのでチェックしてみてください。

アジスロマイシン(製品名:ジスロマック)

おいしい:アイスクリーム(バニラ味)、コンデンスミルク、メープルシロップなど

まずい:イオン飲料、オレンジジュースなど酸性の飲み物

クラリスロマイシン(製品名:クラリスドライシロップ)

おいしい:アイスクリーム、プリン、ミルクココアなど

まずい:イオン飲料、オレンジジュースなどの酸性の飲み物、ヨーグルト

タミフル

おいしい:練乳、りんごジュース、アイスクリーム(いちご味)など

まずい:プリン、お薬ゼリー(チョコレート味)など

3歳以上はうまく納得させる

この年齢になってくると、言葉の意味をある程度は理解できるため、服薬に納得する理由があれば我慢して飲むことができます。

服薬に限ったことではないのですが、うまく誘導するコツは子供の頭の中にどういう未来が来るのか思い描けるように説明することです。

ボクの経験上の話で恐縮ですが、お薬を飲んで元気になり楽しい未来が来ることが理解できると、グッと我慢してでも飲んでくれる事が多かったです。

たとえば、「元気になったら今度またあの公園に行こうね」とかそんなことで頑張ろうと思ってくれたりするものだったり(笑)

まとめ

薬局で毎日お薬をお渡ししているといろんな方と出会います。

子供に限らず、粉薬が飲めない方、カプセルが飲み込めない方、錠剤が飲めない方もいます。

そのような方には、できるだけその方に適した剤形を提案してみたりもします。

小児のお薬というのは薬の専門家である薬剤師でも、かなり神経をつかって管理しています。

専門家ですらそうなのだから保護者の方の気苦労は、きっと想像よりもかなり大きいものだと思います。

毎日忙しく子育てに追われながら、自分の健康だけでなく子供の健康にも気をつかう。

それも自分の健康以上に。

ただただ尊敬しかありません。

全国のパパさんママさん、頑張りすぎないでくださいね。

そして、信頼できる薬剤師を見つけたら、遠慮なく頼ってください。

薬剤師ヒロ
薬剤師ヒロ

そうなれるようボクらも頑張ります!

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