読書

子供への「ご褒美」を適当に決めちゃいけない理由

パンケーキ

どーも!

ねこじたのヒロです。

 

今回は、「効果的なご褒美の設定方法」について学んだことをシェアしたいと思います。

本日の参考文献はこちら!

「学力」の経済学 著者:中室牧子

 

「ご褒美」という言葉はポジティブワードだとボクは思っています。

「ご褒美があるから」と言われると、なんだかそれだけでワクワクしてしまいますよね。

大人になってもそれは変わりません。今でも綺麗な女性に「頑張ったらご褒美をあげる」なんて言われた日には・・・ゴクリっ(笑)

というわけで、ご褒美って別に子どもだけのものではないはずですよね。

社会人でも自分へのご褒美を設定することもありますし、お給料なんかも「ご褒美」のひとつと考えることもできるでしょう。

特にボーナスとか、ボーナスとか、ボーナスとか・・・。ボク、ボーナスないんで・・・うらやましぃ・・。

 

というわけで、今回の記事は子供だけでなく大人にも大変役に立つ知識になるはずです。

自分へのご褒美を設定をするときなんかにも、ぜひ使ってみてほしいと思います。適切なご褒美を設定することで、よりよい成果をあげることができるかもしれません。

もくじ

遠い「将来」より近い「未来」

人間には様々な性質があることがわかっています。

その中のひとつに経済学の用語で「時間割引」と呼ばれているものがあります。

言葉からはわかりにくいと思いますのでかいつまんで説明しますが、これは「人間は利益や価値に関して時間の影響を受けている」という考え方です。

例を挙げて説明しますので、ちょっと想像してみてください。

たとえば、半年後に1万円のお年玉をもらえることがわかっている場合で考えてみましょう。

お年玉をもらうのを1週間だけ遅らせたら、さらに2千円多くもらえるとします。

さあ、あなたならどうしますか?

つまり、「半年後に1万円もらう」「半年後さらに1週間待って1万2千円もらうか」の二択です。

1週間待つだけで2千円も多くもらえるなら、当然「1週間我慢して1万2千円もらうことを選ぶ」と答える人が多いと思います。

しかしながら、これがまったく同じ条件でも「近い将来のこと」になったとたんに、選択に違いが出てくることがわかっています。

それでは、明日がお正月だとします。

明日、1万円のお年玉が祖父からもらえます。

「1週間もらうのを我慢できれば、1万2千円になるけどどうする?」と祖父に聞かれました。

果たして、あなたは1週間待てるでしょうか?

一週間後、祖父が生きてるかわからないからすぐもらう、とかはなしですよ(笑)

確実に1週間待ちさえすれば1万2千円もらえると過程して考えてください。

冷静に考えると、半年後にお年玉をもらうときと同じように1週間待つ選択をするはずですよね。

こうやってここを読んでいるときも、あなたは「いや、やっぱり1週間待ちますよ」と思うかもしれません。

だけど、実際は違うんです。

「明日」など「近い将来」のこととなると、すぐに得られる満足感を優先して明日の1万円を選んでしまうことが行動経済学の様々な実験によりわかっています。

上のふたつの違いは「半年後」なのか「明日」なのかだけです。

それなのに明日のこととなると目先の1万円を優先して合理的な判断ができなくなってしまう。

これを「時間割引」といいます。

つまり、人間は報酬を得られる時点が遠ければ遠いほど、利益や報酬などによって得られる喜びを低く見積もってしまうわけです。

そして、こういう選択をしやすいものを行動経済学では「時間割引率が高い」と表現します。

「勉強」や、「健康」に関してがまさにその一例だと言えるでしょう。

数年後の将来のことを考えるときちんと勉強しておいた方がよいとわかっているのに、いつものようにすぐに得られる満足感を求めてYouTubeを観たりゲームをしたりしてしまう。

結果的に「勉強は明日からにしよう」と先送りしてしまうことになります。

「健康」に関しても同じことが言えます。

長い目で見ると、暴飲暴食や喫煙が健康リスクに悪い影響があるとわかっているのに、つい目先の誘惑に負けてドカ食いしたり、喫煙したりしてしまいます。

どちらも目の前の小さな報酬を優先した結果、のちの大きな報酬を逃すことになる可能性がありますよね。

人間は「将来」のことよりも「目先」の利益や満足を優先してしまいやすい。

まずはこれをしっかり肝に命じておいてください。

馬の鼻先ににんじんをぶら下げる

それでは、どうすればいいのでしょう。

勘のいい方はもうおわかりかと思います。

「遠い将来の報酬」より「目の前の報酬」に弱いのなら、それを逆に利用すればいいわけです。

ご褒美を決める際に、ここをしっかり意識すればより効果的なご褒美を設定することができます。

目の前にニンジンをぶら下げましょう(笑)

その際、高級なニンジンじゃなくてもかまいません。

なにせ、高級なニンジンでさえも遠い将来になってしまえば、その価値は近所のスーパーマーケットのニンジンに負けてしまうわけですから。

ちょっと想像してみてください。

1年後の「ハーゲンダッツ」1分後の「スーパーカップ」

さあ、あなたならどっちを取りますか?

過程と結果、どっちが大切なのか

次に考えるのは、どんな行為に対してご褒美を設定するかです。

  1. 「今度のテストで90点以上取れたらご褒美をあげる」
  2. 「今度のテスト範囲になっているテキストを一冊読み切ったらご褒美をあげる」

上記のうち、どちらの方が子どもの学力を上げると思いますか?

一般的にはa.「今度のテストで90点以上取れたらご褒美をあげる」のようなご褒美を設定してしまいがちではないでしょうか。

しかし結論からいうと、より効果的だったのはb.の方だったのです。

これはいったい、どういうことでしょうか。

 

まずはこの2つの違いを知る必要があります。

最初の「今度のテストで90点以上取れたらご褒美をあげる」という条件設定は「結果」に対するものといえます。

どれだけ実際には頑張っていようと点数が達成できなければご褒美はもらえません。

逆に頑張っていなくても、点数さえ達成すればご褒美がもらえるとも言えます。

対して、二番目にあげた条件の「今度のテスト範囲になっているテキストを一冊読み切ったらご褒美をあげる」の方はその「過程」に対するものです。

つまり、努力したこと自体に対してのご褒美であり、考え方を変えると絶対に手に入るご褒美とも言えるでしょう。

自分なら、果たしてどっちの方がやる気が出るでしょう?

どちらにしろ何もないよりも当然やる気は出ると思います。

しかし、きっと取り組みさえすれば絶対に手に入ると決まっている方がよりやる気が出るのではないでしょうか。

実際に、ハーバード大学の研究でもこれは証明されています。

本を読むなどのような、いわゆる「インプット」にご褒美を与えられた子どもたちの学力は顕著に上昇したそうです。

しかし、テストの結果―

つまり「アウトプット」にご褒美を与えられた子どもたちの学力は、意外なことにまったく改善が見られなかったそうです。

「えっ?

結果にご褒美って意味ないの…?」

って思いますよね。

ここで考えるべきは、なぜ「結果」に対するご褒美では学力の向上が見られなかったかということです。

これは、「結果につながる行動がわからなかったからではないか」というのがひとつの見解です。

「90点取れたら…」と言われても、どうすれば「90点取れるのかわからない」なら努力の仕方を間違えてしまうわけです。

「ご褒美は当然欲しい!だからやる気もある!」

けれど、どうすれば学力の向上につながるかわからない。

だから誤った努力をしてしまい結果が出ない。

当然、欲しかったご褒美ももらえずに勉強やテストに対してネガティブな記憶が形成されることになる。

ここからはボク自身の憶測に過ぎないのですが、これを何度も繰り返した結果、ますます「自分は頑張っても勉強ができない」と思いこんでしまう。

勉強への苦手意識がこうしてできていくことも、実は少なくないのではないでしょうか?

こうしたことを考慮すると、下手なご褒美は、もういっそのこと設定しない方がいいとさえ言えそうです。

どうすればよかったのか

このハーバード大学の研究結果には続きがあります。

「結果」に対するご褒美を設定されていた子どもたちに質問したところ、テストを受けるまでの勉強よりもテストを受ける際のテクニック(問題文をしっかり読み返すなど)ばかりに注力していたことがわかったそうです。

つまり、本質的に学力を上げる「読書をすること」や「多くの問題を解く」などに考えが及ばなかったわけです。

これらのことからも、まずは結果の出る勉強方法をしっかり教えることが大切だと言えそうです。

結果に対してご褒美を設定する場合は、細かいサポートが必要なのです。

効果的な勉強のやり方に関しては、近年さまざまな分野で科学的に証明された勉強法が判明しています。

以前の記事におすすめの書籍も書いていますので、気になった方はぜひ読んでみてはどうでしょう。

科学的に「最適な」ご褒美の設定とは

それでは、ここまで読んでいただいたことをまとめましょう。

以上のことから考えられる、最適なご褒美の設定方法はこうなります。

まとめ

  • 遠い将来より近い未来にご褒美が手に入るようにする。
  • 結果ではなく過程に対してご褒美を設定する。

今回の参考文献の著者である中室さんは、教育経済学としては「ご褒美はあり」だと結論づけています。

ボク個人としても「ありなし」でいえば「あり」だとは思っていますが、想像よりご褒美の設定って簡単に考えてはいけないことがわかったのではないでしょうか。

ご褒美の設計を正しく行えば、今までの何倍も成果を出せるようになるかもしれない反面、逆効果になる場合もありえます。

 

今回の参考文献、『「学力」の経済学』は教育に関する科学的な意見をわかりやすく解説している良書です。

より深く知りたい方はぜひ一度読まれてはどうでしょう。

子育て中のパパママには特におすすめの一冊です。

 

-読書
-,

© 2024 ねこじた薬剤師のポケットエリクサー Powered by AFFINGER5